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2017

​4月のご挨拶

弥生《四月》 

卯月(4月)8日の花まつり

 

桜花の候、皆様方におかれましては、ますますご繁栄のこととお喜び申し上げます。

平素は格別のご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。

 

今から2570年前の4月8日にお釈迦さまが誕生され、お釈迦さまのお誕生を祝う日が花まつり(降誕会)です。

卯月8日の花供養 とか、 灌仏会(かんぶつえ)ともいいますが、小さな御堂を特設して、釈迦像(誕生仏)を安置して山野の花でかざり、お釈迦さまの誕生を祝うおまつりです。

お釈迦さまのお母さまマーヤーさんは、当時の習慣によって出産のために生家へ向かう途中にルンビニーの花園(現在はネパール)で無優樹(むゆーじゅ)の花びらに手をふれられた時、急に産気づかれてお釈迦さまをお産みになったと伝えられています。

 

お釈迦さまは誕生されるや、東西南北の四方にそれぞれ七歩あゆみ、右手をあげて天を、左手で地を指し「天上天下 唯我独尊」と言われたそうです。

お釈迦さまの誕生を祝う花御堂の誕生仏は天地を指すこのお姿です。

そして誕生仏はすべての人々、一切の生きとし生けるものの尊き命の誕生をもあらわしたもので、「天上天下 唯我独尊」とは「生きとし生けるものみな尊い命をもっている」という意味です。

 

「花まつり」には花御堂に誕生仏をまつり甘茶をおかけして祝います。

お釈迦さま誕生のとき九匹の龍が天からやってきて香湯をそそいだという言い伝えにもとづき、産湯にあたるものとして灌仏桶に甘茶を入れ、柄杓(ひしゃく)で、誕生仏に甘茶をかけます。

 

中国では香味料入りの糖水が用いられたが、日本では甘茶を誕生仏にそそぎます。

甘茶はアマチャの乾燥葉を煎じたもので甘みのある飲み物です、それで飲み物として参拝者にもふるまわれます。

ところによっては甘茶で習字すると上達するとか、害虫よけのまじないにもなっています。

 また、花御堂を諸々の草花で飾る供花を摘むところから花摘(はなつみ)ともいいます。

「8日の花摘の山遊び」は、女性の参加が特徴的な風習の一つでした。

花祭りに合わせおこなわれたこれらの民間習俗は近年なくなりつつありますが、お釈迦さまのお誕生を祝う花まつりが、地方の風習とともに行われてきたということは、「花まつり」が人々の生活に密接に関係する年中行事の一つであったからです。

 

天上天下、唯我独尊

 

森羅万象はすべて生まれ滅しています。

一切の命は自然界の生死のめぐりによるものです。

お釈迦さまのお母さまマーヤさんはお釈迦さまをお産みになって7日目に他界されたと伝えられています。

お釈迦さまは生まれながらにして世の無常を体得されたのです。

 

命が命を産み命が命を育み生かす。

すなわち一切の生き物は他を生かし、他に生かせてもらっているという大原則があります。自然界はすべて自己を超えた利他によってつながっているといえるでしょう。

生きているということは、自分のために生きているようであっても、他のために生きているということです。

 

この世に三千万種の生き物が生存しています。

そのどの生き物もみんな生かし生かされあいしている、すなわちすべての命がお互いを支え合ってる、「天上天下、唯我独尊」とは命の尊厳を讃える言葉であり、人も生き物もすべてみな共生きであることを讃え喜ぶ言葉でもあります。

 

生きとし生けるものはみな森羅万象の自然界のめぐり合わせによって生まれ死んでいく命です、何億年もの時間を経た命の連続において、生きとし生けるもの一切が、かけがえのない存在として、命を支えあい、生かしあうために、この世に生まれてきて、今、ここに生きているのです。

だから何万年にわたり人類の祖先は森羅万象の自然のめぐり合わせの恵みに畏敬の念を忘れなかったはずです。

ただ、それがいつ頃からでしょうか人は自然の支配者だと思うようになってきたようです。

 

生きとし生けるものみなを慈しむ

 

平成の日本はストレス社会でしょうか?

児童虐待、雇用や老後の不安など、悩み多き人々が多いようです。

どの人も自然界のめぐり合わせによってこの世に必要だから父母のもとに生まれてきました。だからこそ、かけがえのない命であることを心がけていただきたいと思います。

 

 この世にはさまざまな生き物がいますが人間だけが欲望、すなわち煩悩のために自ら悩み苦しみ、あげくのはてに自分の足下すら見えなくなったり、歩むべき方向を見失なったりしています。

森羅万象の美しさに感動し、生きとし生けるものみなを慈しむ、やさしさの心を失なってしまったのでしょうか?

生きとし生けるものみな欠くべからざる命だから、人類と自然との共生は21世紀の課題であると思うのです。

 

 時々、野の花に目を向けて、山野の中に身を置いて木々の芽吹きや風の薫りを感じて、鳥の声に耳を傾け、潮騒に心躍らせませてはいかがでしょうか

発想の転換をして生命に対する見方や考え方を、万物生命の側から自分の命を見るという視点に変えてみることにより、生きとし生けるものみなを慈しむ心、やさしさの心に気づくと思います。

 

一人の聖者の誕生を祝う「花まつり」(降誕会)は、生きとし生けるものすべてが、この世に生を受けたことを喜び、命の尊さと、共生きの大切さを教える日でもあると思います。

卯月8日のお釈迦さまのお誕生を祝う「花まつり」、諸説色々ありますが太古の昔より伝えられるこの「花祭り」は、私たち一人一人の尊い命を慈しむ日であると思います。

皆々様におかれまして桜の美しい季節に「花祭り」の風習を体験し、また、産み育ててくれた すてきな父母に心の花束を贈る感謝の日にしてみてはいかがでしょうか?

 

弊社としましては、皆様におかれまして「身体健康」「家内安泰」を心より願っております。

 

株式会社 伊藤燃料

代表取締役   伊藤文博

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